Vol.18 TKC中部会秋季大学2011開催 (平成23年11月14日掲載)
わたし達、税理士及び公認会計士の仲間で仕事の志(こころざし)を同じくする血縁集団TKC全国会があります。その東海地区のTKC中部会主催で、今年も秋季大学が11月8日にウェスティンナゴヤキャッスルで盛大に開催されました。
わたし達は、「元気な会社のビジネスドクターをめざす」を使命とし、日々関与先企業と向き合い、その為に必要な研修を積極的に取り入れており、秋季大学の開催もその一環です。
今年も、東海地区の会計事務所の職員や関与先企業の方も含めて、総勢1080名の大多数の参加者で幕を開けました。
今回のコラムは、その日のスケジュールの中から、メインカリキュラムとなったふたつの講演の内容について、感想をお話しすることとします。

1.「会計で会社を強くする」TKC全国会中央研修所所長・税理士 坂本孝司氏 講演

坂本先生は実務家として熱心に活動されているだけでなく、会計制度の研究にも造詣が深く、中小企業のための会計環境作りのために精力的に活動されている方です。著書のタイトルにもされている「会計で会社を強くする」をテーマにお話してくださいました。
会計というと株主・金融機関への報告、そして税務署への申告の為という外部報告の機能をイメージされる方が多いかと思いますが、日々の経営のためにもっと使えるということを強調しておられました。ルイ14世統治下のフランスでは「破産時に帳簿を裁判所に提示できなかった者は死刑に処す」という法律があったそうです。300年も前のフランス人も正しい決算には倒産を防ぐための力があることを知っていました。たしかに製造技術・サービス内容などの答えは会計の中にはありませんが、資金繰りの問題や経営資源の配分の解は会計で出すことができます。そしてそれは倒産を防ぎ、商売を続けていくのに十分な力をもっています。
坂本先生独特のざっくばらんな口調で熱く語っていただくと、会計に携わる身として「まだまだやれることはある」という気持ちにさせられ、たくさんのエネルギーを頂きました。
最後に坂本先生のメッセージを自分なりに要約してみます。「経営者のみなさん、もっと税理士を活用してください!我々(特にTKC会員)にはその心構えと、会計力でサポートする十分な備えがあります!」
(以上、原稿 荒河岳)

2.「大震災と混迷政治の行方」毎日新聞社主筆 岸井成格氏 講演

TBSの「サンデーモーニング」に毎週ご出演で、白髪・口髭がトレードマークでおなじみの毎日新聞社の岸井氏、「とても大勢の方の前で、少々あがっております」と謙遜のごあいさつで始まりました。
現在の日本の政治課題は以前にも増して山積しています。
尖閣諸島・竹島・北方領土問題、沖縄の米軍基地移転問題、TPP交渉参加問題、急激な円高問題など対外的諸課題と、これまでの国内の財政課題に新たに東日本大震災からの復興政策、福島原発事故処理問題を加えた対内的諸課題とで、質量とも重みが増しました。
その解説を交えながら「非常に大きな問題です」「大変ですよ」「えらいことになる」を繰り返し口にされた氏の言葉から、あらためて現状認識をしました。
さて、講演題目にあるその「行方」ですが、粗っぽく総じて言うと「どうなるかわからない」がこの日のお話しでした。これは、混迷政治が続いていて、政府の力強い方向性がなかなか見えてこないを意味していると感じました。
多くのひとが、昨今の現状認識の情報摂取には既にげんなりし、次に大きく踏み出した力強いメッセージを渇望していると思われますが、今の時点でそれは果たされておらず残念です。
こうして、元気なニュースを欲しているところに、とても心地良くお話しされたことがひとつありました。それは、東日本大震災が起きたあとの、その多くの被災者の方々の立派な身の呈し方。外国人特派員の方たちが「家族やモノを失った人たちが、逆に私達に思いやりをくれた。ほとんどの被災者がそうだ。こんな国は日本しかない。」と盛んに氏に語ったそうです。
岸井氏が植林事業、ひいては水源事業に注力しているお話しも含めて、日本には「水」と、そして「日本人魂」といった素晴らしい資源があること、またそれらをこれからも大切にしていかなければならないと感じました。 (以上、原稿 朝倉充俊)